mcda_main.R
mcda_step1.R
mcda_step2.R
mcda_step3.R

Rのスクリプトを機能別に分割して、別ファイルとした。それらを必要に応じて、source(file_name)で読み込み、実行させる様にした。 これらは関数ではなく、通常のスクリプトである。

関数としてはmcda_val_func.Rにまとめてある。効果推定値、最善の値、最悪の値からスコアを計算するためのいくつかの関数である。

また、Mac版Rではplotの際に日本語のフォントファミリーをpar(family="Osaka")のように指定しないと文字化けするため、別ファイルにした。

Analysis: Mulit-Criteria Decision Analysis (MDCA)多基準決断分析を実行し、2つ以上の介入について価値の推定値Value estimateを計算する。Value estimateは益と害のアウトカム全体に渡って、Trade-offも包含して計算され、各介入について総スコアAggregate scoreが0~100の数値として得られる。介入間の総スコアの差が正味の益Net benefitに相当する。

効果の大きさを表すスコアと評価者の価値観を表すアウトカムの重みづけにKeeney and RaiffaのSwing-weightingスウィングウェイティングという方法を用いる。 各アウトカム=決断基準に対するそれぞれの介入の効果推定値について、最悪の値に0、最善の値に100をスコアとして設定し、実際の介入の効果のスコア値をそれらに対して相対的に決定する。 値が大きい方がよいアウトカムとその逆の場合があるが、その効果推定値をest、最善の効果推定値をB、最悪の効果推定値をWとするとscore=(est-W)/(B-W)*100で計算される。それぞれのアウトカムに対する、 最善値、最悪値は比較される介入の95%信頼限界のなかの最小値または最大値を設定するが、任意の値、たとえば理想の治療法の場合や最も望ましくないと考えられる値などを設定することもできる。

重みの値は主観的に設定され、各アウトカム=決断基準についてその効果推定値の最悪の値から最善の値の幅=Swingを考慮しながら、その重要性について 0から100の値を設定する。これらの値は、個人の価値観を反映する。通常一番重要と考えるアウトカムを100にし、それと比較しながら他のアウトカムの重みを次に重要と思われるものから順次決めていく。

効果推定値間の相関は相関マトリックスにより調整される。相関が無い場合は、対角セルはすべて1にそれ以外はすべて0に設定する。各パラメータ間の相関係数の値を設定するが、 データが不十分な際は、推定値を設定する。

総スコアAggeregate scoreはスコアと標準化した重みの積の合計値として算出され、その分散の値は共分散で調整された値を算出する。標準化とはすべてのアウトカムに対する重みの値の合計値 で各アウトカムに対する重みの値を割り算することである。

Dependent package: "tcltk2"

Author of tcltk2: Philippe Grosjean.

Data: データを一定の形式でExcelで用意する。解析実行の際には、データ範囲をコピーして、Rに戻り、スクリプトを実行する。

各介入の名称はは1列目に入力し、その効果推定値は、上からの順序に従い、左から3列ずつ(measure, se, size、率や平均値の値、その標準誤差あるいは標準偏差、サンプルサイズ)のデータを用意する。これらは多くの場合、メタアナリシスによって得られたデータを用いる。実際のデータが得られない場合は、推定値を用いる。

通常のメタアナリシスでリスク差、リスク比、平均値差など2群の比較に基づく効果指標の統合値と95%信頼区間が算出されるが、Swing-weightingを用いたMCDAでは各群のイベント率、平均値と標準誤差あるいは標準偏差の値が必要である。この例は2つの介入の比較であるが、3つ以上の場合も解析可能である。

急性虫垂炎の例:I:抗菌薬投与による保存的治療、C:外科的虫垂切除


*青のボタンをクリックして、Excelに貼り付ける(Ctrl+V)と形式がわかる。


Output:


文献および関連ウェブサイト:
Keeney R, Raiffa H: Decisions with multiple objectives: Preferences and Value Tradeoffs. 1993, Cambridge University Press.

Marsh K, Goetghebeur M, Thokala P: Multi-criteria decision analysis to support healthcare decisions. Springer, 2017.

Thokala P, Devlin N, Marsh K, Baltussen R, Boysen M, Kalo Z, Longrenn T, Mussen F, Peacock S, Watkins J, Ijzerman M: Multiple Criteria Decision Analysis for Health Care Decision Making--An Introduction: Report 1 of the ISPOR MCDA Emerging Good Practices Task Force. Value Health 2016;19:1-13. PMID: 26797229 PubMed

Wen S, Zhang L, Yang B: Two approaches to incorporate clinical data uncertainty into multiple criteria decision analysis for benefit-risk assessment of medicinal products. Value Health 2014;17:619-28. PMID: 25128056 PubMed

Marsh K, IJzerman M, Thokala P, Baltussen R, Boysen M, Kaló Z, Lönngren T, Mussen F, Peacock S, Watkins J, Devlin N, ISPOR Task Force: Multiple Criteria Decision Analysis for Health Care Decision Making--Emerging Good Practices: Report 2 of the ISPOR MCDA Emerging Good Practices Task Force. Value Health 2016;19:125-37. PMID: 27021745 PubMed

森實敏夫:医学統計学シリーズ第49回 Swing-weightingを用いたMulti-Criteria Decision Analysis。2019年6月。
森實敏夫:医学統計学シリーズ第50回 Swing-weightingを用いたMulti-Criteria Decision Analysis:分散を直接計算する方法。2019年9月。
リンクはこちらーー>あいみっく 6か月後にウェブに掲載されます。